昨日は思考と感覚の違いを
音楽で表してみたんですけど、
その後にちょっと思い出した
話がありました。
そういえばあの話も
思考と感覚で表すことが
出来たかもな。
そんな感じで思い出したんですね。
今日はちょっとそのお話を。
正反対の意味を持つ二種類の『頑張る』
息子は生前、
小学校6年生からですかね、
学校へ行くことが嫌になり
不登校状態になっていました。
僕もたまたま平日の休みで
息子と二人でテレビを
見ていたのですけど、
あるテレビ番組で
こんな特集をしていました。
高校生だったか大学生だったか
どちらだったかは忘れましたが、
ある女子学生が中学生の頃に、
起立性調節障害と診断されたそうです。
その時の経験を振り返りながら
自分が監督として映画を作り、
その映画が表彰を受けたという
特集でした。
映画を撮影する時の
苦労話など色々とあったのですが、
監督をしていた女子学生が
一番苦しんでいたのが、
自分のトラウマ的経験を
目の前で主演の女優の子が演技し、
それを自分が撮影している
ということでした。
撮影中に苦しくなり
何度も倒れてしまい、
もうダメかもしれないという
状況の中でも、
何とか自分の表現を
続ける姿勢に、
僕もとても心を打たれました。
そして、
その特集を見ていた息子が
ポツリとこんなことを言ったのです。
「この子も頑張ってるから
俺も学校嫌だけど、
頑張って行かないといけないな」
と。
僕はこの言葉にビックリしました。
というのも、
監督をしていた彼女の『頑張り』と
息子が言う『頑張り』が、
全くの別物だということが
分かったからです。
息子が言う『頑張り』とは、
嫌なことでも頑張って
やらないといけない、
思考が「○○すべき」
と言っていることを
表しています。
かたや、
監督をしていた彼女の『頑張り』は、
私は辛いし苦しいけど
この映画で表現したいんだ!
という、
「○○したい」
という心の感覚から出てきている
頑張りを表しています。
同じ『頑張る』という言葉でも、
その言葉が持つ意味は
全くの正反対です。
僕が感じていた思いを
息子に伝えましたが、
息子はあまり納得しては
くれませんでした。
僕がもう少し
上手く伝えられていたらなと、
そんなことを思う時も
あります。
でも、それ以上に、
言葉というものが
どれほど曖昧で、
それなのに強烈な影響を
持っているという事実が
僕には少し重く感じます。
同じ『頑張る』という
言葉なのに。
だから正直いうと、
『頑張る』とか『努力』とか、
世間では良い意味で使われる
これらの言葉を、
僕はあまり好きではありません。
世の中にはきっと、
この正反対の意味を持つ
『頑張る』を、
同じものとして考えている人が
多いんじゃないかと思います。
思考が「○○すべき」という
ニュアンスで言ってくる
『頑張り』の時は、
きっと心がモヤっとするはずです。
そのモヤっとする感覚を
僕はどうか信じて欲しいと思う。
そして、
その感覚に従って欲しいと
思います。
苦しんでいる誰かに
どうか届きますように。